INTERVIEW
リーダーシップを発揮できる人材となるために
リーダーとなるために
必要な能力とは何か。
協働する中から
その能力を身に付ける
プロフェッショナルメンター
Eaton,David 教授
リーダーシップを発揮できる人材となるために
専門は自然資源政策学。
特に水・大気・廃棄物に関する開発政策に明るい
イートン教授は、テキサス大学オースティン校リンドンジョンソン公共政策大学院で、自然資源政策学を専門としている。水・大気・廃棄物・リスク問題を主とした環境に関する分野と、エネルギーに関する分野に焦点をあてた教育研究を行っている。これまで20カ国で教鞭をとり、15カ国で調査研究に参加してきた。
専門は、村落での給水、国際的な水資源争い、エネルギー管理、工業環境問題、救急医療サービスの運営、資源問題への数理計画法の応用、保険、農業等で、これまで数多くの論文を発表。
とりわけ、「国際河川流域における持続可能な開発」、「エネルギー・水保全プログラムの評価」、「汚染の予防」の研究に力を注いでおり、著書には、「北米自由貿易協定 水資源管理者・技術者のためのハンドブック(NAFTA Handbook for Water Resource Managers and Engineers)」、「テキサス州トラヴィス郡における救急医療サービス(Emergency Medical Services in Travis County, Texas)」、「貿易協定の州法への影響(The Impacts of Trade Agreements on State Provincial Laws)」などがある。
近年の研究では、「アメリカ・メキシコの環境協力」、「大気汚染排出査定の新メソッド」、「パレスチナ・イスラエルの地下水の共同管理」、「テキサスでの水保全」等に取り組んでおり、テキサス州保険庁は、1997年から1999年にかけての、テキサスにおける1.3億ドル超の賠償責任保険の払戻を弁明するため、イートン教授が監督した不法行為法改革についての研究を使用した実績がある。
自分自身について考え、グループでの協働活動に活かす
イートン教授がたおやかプログラムで担当するのは、「リーダーシップ手法」という教育科目である。
これは、リーダーシップとは何かということについて考え、リーダーとなる人とリーダーに従う人たちの関係について理解を深めていくクラスだ。
先生によれば、このクラスは3つのパートに分かれるという。
最初のパートは、各学生が自身の能力と可能性について、しっかり考えていく教室内での授業。4日間にわたり、集中的に行われる。
2つめのパートは、リーダーシップについての学術的なアプローチの仕方を学ぶことに焦点をあて、オンラインをベースに行われ知識を深めるもので、アメリカで「フリップド・メソッド(反転授業)」として知られる教授法で行われる。10回分の講義がYouTubeなどで公開され、学生はこの動画を学期中いつでも視聴することができる。各回の講義を視聴した後には小論文を提出し、メールやSkypeを使って内容について議論する。
3つ目のパートでは、学生たちは再び教室に集まる。そこでは幾通りもの状況を想定し、グループとして協働作業に取り組むリーダーシップ・トレーニングを行う。最終的に、このクラスを通して経験したリーダーシップ・トレーニングを、今後、たおやかプログラムと、将来的には実社会において、どのように活用していきたいかについて発表し合う。クラスのまとめとして提出する論文の作成にも取り組む。
この教育科目は、リーダーシップを実践する訓練となり、また、その後のオンサイト教育におけるフィールドワークのための準備にもなるという。
実践的な経験から学び、努力する学生をしっかりサポートしたい
イートン教授は、「私自身の研究は分野融合的なものばかりなので、文理融合というスタイルはむしろ、やりやすいと感じています」と話す。そのうえで、たおやかプログラムは、「大変チャレンジングなプログラム」と評する。
「このプログラムで学ぶ学生たちは、博士号取得を目指すだけでも十分難しいのに、そうした自分の専門分野だけでなく、他分野についても分野融合的な学びを実践していかねばなりません。そのうえ、お互いの専門分野を通してどのように協力し合えるかということについても学ばねばなりません。つまり、『他分野の人たちと一緒に作業する、協働して学ぶ』ということが、たおやかプログラムの重要なポイントなのです」と先生。
そして、「もしこのプログラムを修了しても、学生がリーダーシップを発揮できる人材にならなければ、たおやかプログラムのゴールは達成されない」と言い切る。
さまざまなフィールドでの経験や、学術的な知識という背景が、リーダーとなるための自信を築くベースとなる、と先生は言う。
「積極的に挑戦して、失敗をも乗り越えて、自分自身と他者への理解も深めていく。こうした経験が自信へとつながっていくのです。ここで学ぶ学生たちにはみんな、自分のやっていることに自信を持って巣立って行って欲しい。私はそのための手助けとなるサポートを惜しみません」。
Eaton, David 教授
イートン,デービッド
テキサス大学オースティン校リンドンジョンソン公共政策大学院 教授
1971年 オーバリン大学 生物学士取得
1972年 ピッツバーグ大学 公共事業修士及び環境衛生修士取得
1977年 ジョンズ・ホプキンス大学(アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア)にて環境工学・地理学博士号取得
国連訓練調査研究所(United Nations Institute for Training and Research (UNITAR))特別研究員、テキサス大学オースティン校環境資源管理センター(The University of Texas at Austin Center for Environmental Resource Management)ディレクター、コズメツキー・グローバル・コラボラトリー(Kozmetsky Global Collaboratory)共同議長、及びテキサス大学オースティン校クロスボーダー・イニシアティブ・フォー・リサーチ・アンド・デベロップメント(The University of Texas at Austin Cross-Border Initiative for Research and Development)共同議長を務める。