MENTOR
INTERVIEW

機能メモリの基本設計と開発、知能システムへの応用に関する研究

人間のように
認識する機能を
持ったLSIを
社会に活用する


技術創生コース

先端物質科学研究科

Mattausch,Hans Jürgen 教授

機能メモリの基本設計と開発、知能システムへの応用に関する研究

学習・認識機能を有するLSIアーキテクチャの開発を目指す

Mattausch先生は機能メモリ設計とその応用について研究している。なかでも近年めざしているのは、「学習・認識のためのアイデアやデザインを開発すること」という。

「マイクロプロセッサは標準的なLSIとしてパソコンに搭載され、ソフトを動かすなど、いろいろな応用を実現します。この分野は長い間、研究がなされていますが、マイクロプロセッサは人間のような知能処理に関しては弱いんですね。そこで、人間のようなことができるLSIやマイクロプロセッサを開発する研究をしています」と先生。

目標は、LSIを認識学習の分野のために開発するということだが、それは例えば、車に搭載してまわりの障害物を認識することで衝突を避けて事故を防いだり、人間の顔認識や指紋認識によるセキュリティシステムに用いるなど、さまざまな認識システムの一助になると考えられるとのこと。

「これは、日本の条件不利地域におけるイノシシなどの獣害対策にも使えます。南アジアでは、危ないヘビがいたりしますね」。

実際にどういう形でシステムをつくるかというところまで今後は研究しないといけないが、それにはまず、「ニーズに合わせる」ということが必要と先生は言う。

新たな技術開発の基礎となる、基本的な知識を身に付ける

先生がたおやかプログラムで受け持つ授業は、「マイクロプロセッサ設計」という教育科目だ。これは、マイクロプロセッサに関する基本的な知識や技術をレクチャーするものであり、研究開発者としては知っておかねばならない内容であるという。

「ここで学ぶ技術が直接、条件不利地域で役立てられる訳ではありませんが、そうした地域に適したソリューションを開発するにはまず、この世の中にはどのような使える技術が存在しているのかを知る必要があります。そうした知識を学生は持たないといけません」。

そして先生はこうも語る。

「こうした知識を用いて、条件不利地域に適した技術を開発するというのは大事なポイントですね」。
というのも、研究は往々にして先進国の国のためのものになりがちだからだ。

「学生の社会への意識を、技術者として高めることが必要ですね。研究にとって応用はとても重要ですが、社会のニーズを考えるとき、先進国だけではなくて、世界の中の条件不利地域のためにも使えるものをという意識が必要です。社会を将来に向けて改善していくために、そうした意識を持ったリーダーがどうしても必要だと思います」。

たおやかプログラムは、これまで大学があまり大事にしてこなかったそうした教育の目標に改めて取り組むものだ。
「それは非常に難しく負担も大きい。しかし、そこから幅広く考えていけることを多くの人が願っていると思いますね」。

たおやかプログラムによって社会の課題解決に役立つ人材に

先生のもとには現在2名のたおやかプログラムの学生がいる。ひとりは中国人留学生の女性で、技術創生では唯一の女性。もうひとりはまだ参加して間もない日本人の男性だ。
「学生たちは一生懸命にやっているという印象です。彼らの学習面での負担はかなり大きいですが、大変意欲的に取り組んでいます」と先生。

たおやかの学生は、自分の専門と同プログラムの課程とを併修するため、学習の負担は倍にもなる。しかし、「全体的な知識や経験は非常に大きなものとなり、多くの課題に対して対応できる人材になるはず」とMattausch先生も期待を寄せる。

さらに、こうした文理融合の取り組みへの参加は初めてのことだが、教員にとっても大事な経験になると評価。
「文系と技術系の専門家がお互いに深く理解して、一緒に働くのは不可能に近いという人もいますが、私は、それを実現しないといけないと思っています」と語り、メンター間の連携にも努めていくとのこと。

また、先に述べた動物認識システムについても、「こういうことを実現するシステムは、たおやかプログラムがなかったら、たぶん取り組むことはなかったと思います」と言い、このように解説してくれた。

「大学の研究の多くは基礎研究に費やされ、応用研究は企業等との共同研究などで行われる場合が大半です。しかし、たおやかプログラムでは応用を必ずやります。たおやかプログラムでは最先端のものでなくとも、目的のために十分であれば、安くて効率の良い技術を提供しなければならない。それは、社会のニーズを意識するという点で、いままで日本になかった取り組みですね。私もそうした意識の必要性を理解できました」。

先生は、学生たちがたおやかプログラムで学んだことを実社会における大きな課題解決のために生かし、成功すると期待している。

「たおやかプログラムの経験があることによって、社会に対してどのように注意を向けるべきかも分かるようになると思います。今後、さまざまな難しい課題が出てくると思われますが、きっと学生たちは、そうした課題の解決に成功すると期待していますよ」。

Mattausch, Hans Jürgen 教授
マタウシュ ハンス ユルゲン

先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

1978.11.01〜1981.12.31 マックスプランク固体物理研究所(ドイツ) 研究員
1982.01.01〜1986.04.30 シーメンス研究所(ドイツ) 研究員
1986.05.01〜1990.03.31 シーメンス研究所 プロジェクトリーダー
1990.04.01〜1995.03.31 シーメンス研究所 グループリーダー
1995.04.01〜1996.09.30 シーメンス研究所 主幹研究員)
1996.10.01〜1998.08.31 広島大学ナノデバイス・システム研究センター 助教授
1998.09.01〜 広島大学ナノデバイス・システム研究センター 教授
2002.04.01〜 広島大学先端物質科学研究科 教授

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