MENTOR
INTERVIEW

地域の特性に応じた仕組みによる人と地球に優しい生産活動の実現

生産システムや
計算管理システムを
相手の国に合った
仕組みとするために


技術創生コース

先進理工系科学研究科

高橋 勝彦 教授

地域の特性に応じた仕組みによる人と地球に優しい生産活動の実現

 

生産システムや生産管理技術の研究から人類の未来を考える

高橋先生の専門は経営工学。中心となるのは生産システム工学分野の研究だ。

ますます複雑化、多様化する生産システムの効率的な構成と、生産環境の変化に機動的に対応する計画管理の仕組みの実現を目指して、それらの基本となる考え方や方策、必要となる最適化や計画等の手法の開発などを研究している。生産システムとは、製品やサービスを作って顧客に提供する一連の仕組みのことだ。

特に日本では1970年代以降、日本独特の生産システムやその管理システムが開発・実践され、国際競争力を維持してきた。そうした日本流のものを学術的に評価するという先生の研究は大いに注目を集めている。“日本流のものづくりのシステム”として知られるトヨタ自動車のかんばん方式に関する一連の研究では、日本経営工学会の学会賞を受賞(平成21年度)。

日本がなぜ質や生産性の高いものをつくれるのか――。それに関する研究は海外でも盛んで、先生の研究をベースにした研究も展開されているという。その一方で、技術移転をはじめとした他国への適用展開や、さらなる発展のための次世代生産システム・管理システムについての研究も進行中だ。

「日本と同じやり方が海外で通用するかどうか。日本流のやり方というのは、几帳面な日本人の言われたらきちんとやるという特質を前提にしているので、他国でできるかと言えば、普通はできないんですよ。現地流のうまいやり方を考える必要があります。」と高橋先生。

研究対象は日本にとどまらず、世界へと広がっている。つまりそれは、私たち人類の生産活動の未来を考える研究と言えるだろう。

システム工学の基礎的学習と、問題に取り組む基本姿勢を習得

たおやかプログラムで先生は、「システム計画特論」という教育科目を担当。

ここでは、システム工学の基礎、取り扱う対象における問題に対して、答えとなる仕組みを考え出す際に、対象をシステムとして捉え、問題を規定していくための基本となる考え方や進め方を学ぶ。

また、具体的な対象を生産システムとした時に、基本となる生産システムの位置付け、あるいは基本となる生産システムを発展させた最近の生産システムや生産管理システムについて、講義が行われた後、毎回の講義の最後には、講義内容に関連した課題を学生同士で討議する時間が持たれる。

さらに、後半の「具体的な生産システムと生産管理システム」では、講義と同時に、関連する最新の論文について、学生による講読と討議が行われる。

この教育研究の受講者に対して、先生から次のようなエールが送られた。

「技術創生の際、あるいは実際の課題に対する解決策として創生された技術を応用・実用化する際には、個々の技術を一つの仕組みとして統合して評価することが求められます。そして、基本となる考え方や全体の構想があって、それらに関連する技術を組み合わせる必要があります。そのような全体を見渡す折に、この講義で学んだ考え方や方策を活用してもらえることを期待しています。」

たおやかの学生に見られる成長ぶりに高まる期待

高橋先生はたおやかプログラムのオンサイト教育に関する委員でもある立場から、本プログラムに対して大きな期待を寄せる。

「文理双方の考え方をもってアプローチすることが重要です。両領域の学生たちが一緒に取り組むことから、技術創生、実装、文化創生につなげていくことは、グローバル化時代には必要不可欠なこと。その中で、牽引役を務められるリーダーが一人でも多く育成されればと思いますね。」

昨年は委員としてオンサイト教育の候補地のひとつ、ネパールを訪ねて具体的な展開方法などを検討したという高橋先生。残念ながら先の地震の影響で、本年度の滞在先は他の地域に変更されたが、今後もこうしたプログラム展開のサポートは継続していく予定だ。

また、担当している教育科目で、たおやかプログラムの学生たちに接しての感想をこう語ってくれた。

「現在、受講しているたおやかの学生たちを見ていると、とてもバイタリティがあるのを感じます。鍛えられているなという印象です。講義後のグループディスカッションの場でも、彼らのいるところでは議論が進むんです。知らないうちに議論をリードしている人が彼らの中から出てきている。そういったことからも、たおやかプログラムには大いに期待が持てると思いますよ。」

最後に、学生たちの今後の心構えについてもひと言。

「条件不利地域などでは、これまでの考え方や方策、システムや技術などがそのまま使えるとは限りません。何が求められるのか、何をすべきか、問題をじっくり吟味して、技術を創生したり実装したりする必要があると考えています。また、結果として文化創生につながることや、これまで創生された文化についても配慮が必要です。そのような心構えのもと、仲間と協調して議論して、納得のいく結論に繋げられることを願っています。」

高橋 勝彦 教授
タカハシ カツヒコ

先進理工系科学研究科・先進理工系科学専攻・電気システム制御プログラム

1986.4.1~1989.3.31 早稲田大学理工学部 助手
1989.4.1~1993.6.30 広島県立大学経営学部 講師
1993.7.1~1994.3.31 広島県立大学経営学部 助教授
1994.4.1~2003.3.31 広島大学工学部 助教授
2003.4.1~2020.3.31 広島大学大学院工学研究科 教授
2020.4.1~ 広島大学大学院先進理工系科学研究科 教授

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